退職された清水先生の研究
転倒防止を目的としたトレーニングマシーンの開発
高齢者の転倒骨折の主な原因として、下肢筋力の低下、バランス能力の低下、骨の脆弱化が挙げられる。さらにこれらの機能低下の大きな原因が、加齢に伴う速筋繊維の萎縮であり、下肢の筋力トレーニングによって速筋を衰えないように強化することが、将来の転倒骨折を予防する上で有効であると考えられる。
身体のバランスにかかわる下肢の筋肉として、内転筋と大腰筋がある。内転筋は左右のバランスを支えるため、大腰筋は姿勢を維持したり足を引き上げたりするために使われる筋肉であり、どちらもヒトのバランスを維持するために非常に重要な筋肉である。本研究では、高齢者が安全に効率よく速筋を鍛えるために、空気圧を負荷として利用したトレーニングマシーンを開発した。

図1.マシーン写真

図2.マシーン概要図
本マシーン(図1および図2)は、ベローズを内股に挟み圧縮することによって、内転に伴う股関節の全可動域における筋肉をトレーニングするマシーンである。空気圧バルブを介して逃れる空気量を調節することにより、筋肉への負荷を変化させることが可能である。さらに、圧力センサを取り付けることにより、筋力測定をすることも可能である。若年者および高齢者を対象に、本マシーンを使用した内転運動トレーニングに協力してもらったところ、いずれの被験者ともに下肢の筋力増強が確認された。従って、本トレーニングマシーンは将来の転倒予防に有効である可能性がある。